上越地域 骨粗鬆症連携の会
2017年9月28日(木)に上越市市民プラザにて、上越地区の開業医の先生と検査や治療の連携を推進する目的で「上越地域 骨粗鬆症連携の会」を開催しました。
基調講演
「上越地域医療センター病院における骨密度測定連携システム」
上越地域医療センター病院 薬剤科主任 山田潤也薬剤師
骨粗鬆症とは「骨がもろくなって折れやすくなる病気」です。
骨粗鬆症が進行しますと、ちょっとつまずいて転んだだけで骨が折れてしまうことがあります。特に足の付け根(大腿骨頚部)や背中(脊椎)が骨折しますと、それをきっかけに「要介護の状態」になってしまうことがあります。
当院には骨密度測定器(DXA法)がありますので骨密度測定を行うことができます。また近隣の開業医の先生からの御依頼で骨密度測定を行うことも出来ますので山田薬剤師から骨密度測定依頼の方法について説明。
骨粗鬆症治療では治療率と治療継続率の低さが問題になっているのが現状です。この問題点を改善するためにも患者さんへの啓蒙や施設間での情報共有、積極的な骨密度検査が重要になります。また、整形外科医だけで多くの骨粗鬆症患者を治療していくことは困難ですので他科のかかりつけの開業医の先生からの治療継続が必要です。また、骨粗鬆症学会では教育プログラムを受講し試験に合格した看護師・薬剤師・理学療法士等に骨粗鬆症マネージャーを認定し骨粗鬆症の啓発・予防・診断・治療のための多職種連携システム(骨粗鬆症リエゾンサービス)を進めています。
当院では開業医の先生からの骨密度測定依頼は当院書式の検査依頼書にて受け付けています。検査依頼書は一部の近隣の開業医の先生の所には配布していますが当院ホームページからダウンロードし記載することも出来ます。
※骨粗鬆症リエゾンサービスとは?
少子高齢化が進む日本において国民の健康寿命を延ばすためには,骨粗鬆症を重篤な疾患と位置づけ,積極的な治療介入を行う必要があります。その有効なツールとして,骨粗鬆症リエゾンサービスという医療連携の取り組みが注目されている。多職種による緊密なチームワークによって,骨粗鬆症の予防や治療を効果的に行おうとするこのシステムに,薬剤師もまた前向きに参画することが期待されております。
特別講演
「骨粗鬆症治療の診断と薬物治療について」
上越地域医療センター病院 整形外科部長 小坂泰啓医師
骨粗鬆症の病態や診断、薬物治療について講演がありました。骨粗鬆症治療薬は多くの種類がありそれぞれ特徴が異なるため使い分けや注意点など会場にいる専門以外の医師や看護師等にもわかりやすく説明してくださいました。
テリパラチド製剤は現在唯一の骨形成促進薬であるため胸腰椎圧迫骨折患者さんに対して骨密度改善目的以外にも骨癒合を促進し入院期間を短縮させる目的で使用します。
最もメインで多く使用されている薬剤はビスホスホネート製剤です。内服の他に注射薬もあり、内服は起床時に多めの水で服用し30分間(薬によって1時間)は横にはなれません。起床時に水で服用する理由は水以外の飲み物や食べ物が胃の中にあると吸収率がさらに低下するためで、多めの水で服用しその後しばらく横になれない理由は薬が食道に残ったり逆流したりすると食道に炎症が起きる可能性があるからです。
長期間使用すると非定型骨折の危険性があるため休薬期間があった方がよいとも言われています。SERM(選択的エストロゲンモジュレーター)は閉経後の女性にしか使用できません。活性型ビタミンD製剤はカルシウム値に注意していれば副作用の少ない薬剤ですので一般的に広く使われています。
会場の様子
今後もこういった地域の開業医の先生との連携を深めるための会を継続して開催していきたいと考えていますので希望のテーマや分野などありましたら当院広報企画課まで連絡よろしくお願い致します。
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